以下の要領にて、第105回多言語社会研究会例会を開催致します。
皆様奮って御参加下さい。
日時:2026年4月25日(土)13:00-17:00(普段より1時間早いので御注意下さい)
会場:東京大学(本郷キャンパス)東洋文化研究所 大会議室(3階)
https://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/access/index.html
参加費:500円(オンライン・対面)
※対面参加者は会場でお支払い下さい。
※オンライン参加者は例会終了後、下記Zoom登録フォームに入力されたメールアドレス宛てに支払い方法を連絡致します。
研究会はオンライン(Zoom)でも参加頂けます。
オンラインでの参加を希望される方は、以下のフォームからお申し込み下さい。
https://zoom.us/meeting/register/nWBVmfnLQDuDYr0qRxNhTA
※オンライン参加の場合、対面参加と同じ水準の経験(音声の聞き易さ、映像の見易さ、反応の早さ等)は保証できませんので、了解の上でお申し込み下さい。
(以下、各報告の開始時間はおおよその目安ですので、若干前後する可能性もあります)
<報告1>13:00-15:00
発表タイトル:「言語の死」とマイノリティのデジタル・ホームランド―ユダヤ・スペイン語復興運動とオンライン空間上のコミュニティ形成について
報告者:長塚織仁(立命館大学特別研究員/日本学術振興会特別研究員PD)
概要:
セファルディ(スペイン系ユダヤ人)は15世紀にスペインを追放されたユダヤ人であり、その後、低地諸国やオスマン帝国、北アフリカなどを中心に移り住んだ。特に16世紀からセファルディのいわば「コイネー」的な役割を果たしてきたのがユダヤ・スペイン(ラディーノ)語だった。スペイン語を基盤にヘブライ文字で記述され、トルコ語やイタリア語、ヘブライ語などの混成言語として成立した。オスマン帝国周辺では近代文学の形成に至る。しかし国民国家化とナチス・ドイツの被害による再移住とコミュニティの拡散でこの言語は家庭内言語以外では使用される機会が稀になる。その後、80年代には言語使用も停滞し、また言語の「媒介言語」的な性質と低い権威意識とセファルディの高い同化傾向によって、言語上の「言語の死」のモデルケースと言われた。しかし90年代のインターネットの普及、チャットルームの成立で少しずつユダヤ・スペイン語に関心が高まる。SNSや動画サイトの普及、パンデミックによるウェビナーの普及によって現在、その文化的・言語的な関心は最大に達した。これはヘルトが語る「デジタル・ホームランド」の成立というテーマと繋がる。ネイティブ話者の減少の一方、マイノリティの少数言語がウェブで強い関心を向けられている一例である。インターネットやSNSの機能、セファルディの特殊性などの観点から考察する。
キーワード:セファルディ、少数言語、デジタル・ヒューマニティーズ
<報告2> 15:00-17:00
報告題目:コーダは親への通訳場面で「仲介(mediation)」として何をしているのか―通訳における行為の再記述
報告者:中津真美(東京大学多様性包摂共創センターバリアフリー推進オフィス)
概要:
きこえない親をもつきこえる子ども(以下、コーダ:CODA:Children of Deaf Adults)が担う親への通訳は、外部からは子どもにも可能な言語の伝達行為として前提化されやすいが、先行研究では、両者のやり取りを成立させるための調整や補足を含む仲介的性格をもつことが指摘されてきた(中津・廣田, 2012)。しかし、その行為の具体は十分に整理されていない。
本発表は、筆者が収集したコーダ27名のインタビュー資料を基に、通訳行為をCEFR-CVの仲介活動に対応づけて再記述する。その結果、コーダの通訳行為は、会話内容の取捨選択や再構成、聴者社会で自明とされる制度・慣行の前提の補足、相互の誤解の修正や場の調整などを含み、三つの仲介活動の枠組みによって記述可能であることが示された。さらに、この仲介は、「障害」に関する社会的評価のもとで不利な立場に置かれがちな親の側に立って遂行されると同時に、親子関係の内部で子どもに継続的に委ねられているという構造的特徴をもつ。
仲介概念を分析視点として導入することで、コーダが担う通訳の高度性と子どもへの負荷集中という構造的問題を捉えることができると考える。本発表では、その知見を基盤として、子どもが通訳を担う構造そのものを問い直す必要性も指摘する。
キーワード:コーダ(CODA)、仲介(mediation)、家族内通訳