以下の要領にて、第106回多言語社会研究会例会を開催致します。
皆様奮って御参加下さい。
日時:2026年7月4日(土)14:00-18:00
会場:東京大学(本郷キャンパス)東洋文化研究所 大会議室(3階)
https://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/access/index.html
参加費:500円(オンライン・対面)
※対面参加者は会場でお支払い下さい。
※オンライン参加者は例会終了後、下記Zoom登録フォームに入力されたメールアドレス宛てに支払い方法を連絡致します。
研究会はオンライン(Zoom)でも参加頂けます。
オンラインでの参加を希望される方は、以下のフォームからお申し込み下さい。
https://hyogo-u-ac-jp.zoom.us/meeting/register/HFyjixm7Qkut-QnMdXKqmQ
登録後、ミーティング参加に関する情報の確認メールが届きます。
※オンライン参加の場合、対面参加と同じ水準の経験(音声の聞き易さ、映像の見易さ、反応の速さ等)は保証できませんので、了解の上でお申し込み下さい。
(以下、各報告の開始時間はおおよその目安ですので、若干前後する可能性もあります)
<報告1>14:00-16:00
発表タイトル:多文化共生を支える地域住民の包摂性―言語管理理論に基づく「やさしい日本語」への言語意識の検討―
報告者:小森谷仁子(東北大学大学院教育学研究科)
概要:
本発表では、地域日本語支援活動に参加する地域住民による「やさしい日本語」実践を対象に、言語管理理論を理論的枠組みとして言語意識の形成および変容プロセスについて検討する。近年、日本では外国人住民の増加に伴い、多文化共生社会の実現に向けた取り組みが進められている。その中で、「やさしい日本語」が多文化共生社会におけるコミュニケーション手段として注目されてきた。従来の研究において、「やさしい日本語」が地域社会の共通語として機能するためには、ホスト側である日本語母語話者の意識が重要であることが指摘されている。
本研究では、宮城県内で実施されている日本語支援活動を対象に半構造化インタビューを実施し、質的分析を行った。分析では、言語管理理論における「留意」「評価」「調整」「実施」「事後評価」のプロセスに着目し、対象者の「やさしい日本語」実践における言語管理の様相を検討した。
分析の結果、対象者の言語管理が個別の相互行為にとどまらず、外国人をめぐる社会的認識や制度、防災、地域生活といった広範な文脈へと拡張していることが明らかとなった。本発表では、「やさしい日本語」実践が単なる言語調整にとどまらず、多文化共生に関する意識形成へどのようにつながるのかについて議論する。
キーワード:多文化共生、やさしい日本語、言語管理
<報告2> 16:00-18:00
発表タイトル:「ジェンダー/セクシュアリティの観点からことばを捉える:「クィア言語学」の概観と展望」
報告者:熊田哲典(東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻)
概要:
言語とジェンダーおよびセクシュアリティに関する研究は、ことばと社会の関係を扱う分野の一つとして、長らく関心を集めてきた。とりわけ1990年代以降、相互行為や言説の中でジェンダー/セクシュアリティの諸側面がことばを用いてどのように構築・交渉されているかという問題意識を軸として、多様な方法・対象についての知見が蓄積されている(Hall&Barret (eds.), 2018)。こうした流れは、日本語圏においても、『ことばと社会』16号(2014)において特集が組まれるなど、注目を集めている。
本発表では、そうした言語とジェンダー/セクシュアリティ研究の潮流を、「クィア言語学」と呼ばれる領域をめぐる議論を中心に概観したうえで、今後の展開の一例として報告者の研究を提示する。具体的にはまず、クィア理論(とりわけバトラー(1990)のパフォーマティヴィティ論)の理論的受容による「クィア言語学」の成立や、2000年代に起こった「アイデンティティvs.欲望論争」およびその後の展開、そしてそれらを踏まえた近年の動向として言語人類学理論との接合について紹介し、それぞれの位置づけを整理しながら研究史を概観する。そしてそのうえで、相互行為の中で「聞く」ことに焦点を当て、ある参与者の持つジェンダー/セクシュアリティをめぐるスタンスが、別の参与者によって推察される契機に注目することで、性をめぐるより多様な現象を捉えると共に、言語とジェンダー/セクシュアリティ研究および社会言語学/言語人類学における枠組み一般に対して示唆をもたらす可能性を提示する。
キーワード:クィア言語学、言語とジェンダー/セクシュアリティ、言語人類学、スタンス