第84回多言語社会研究会例会のお知らせ

この度、第84回研究会をオンライン(Zoom)にて開催いたします。

みなさまふるってご参加いただきますよう、お願いいたします。(例会担当:安田敏朗)

日時:2020年12月19日(土)14:00-18:00

場所:Zoom にて開催します。

参加費:無料

報告者1 :佐野彩(一橋大学大学院言語社会研究科博士研究員)

「フランスのフランコプロヴァンス語地域における言語運動と言語の継承」

 フランコプロヴァンス語はフランス、イタリア、スイスの境界地域で話されてきたロマンス系言語である。19世紀に言語学者が存在を指摘して命名したが、話者には村などの狭い地域のことばを指す「パトワ」と呼ばれ、そのように捉えられてきた。フランス語への言語シフトが進む一方、「パトワ」の活動を行う各地の団体が言語運動を進めてきた。本報告では、関係者へのインタビュー調査、活動の参与観察、資料をもとに、言語運動の概要を明らかにした上で、「若い」世代に焦点を当て、話者タイプや活動形態(国境を越える「アルピタン運動」とローカルな「パトワ」の活動)といった観点から言語意識・言語使用を検討し、言語の継承を考える。


報告者2:鴨志田聡子(日本学術振興会特別研究員(RPD)東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻)

「オンライン言語学習活動によって再活性化する少数言語の継承」

 大半の少数言語において次世代への継承は最大の課題である。本報告ではユダヤの言語のオンライン言語学習活動の課題や可能性について、報告者の参与観察をもとに述べる。家庭で継承されにくい少数言語の次世代リーダー(講師や話者)の育成には、魅力ある言語学習活動の継続的な実施が効果的である。継続的に学習する人を一定数確保することを目指すとき、オンライン化が一つの解決策となる。本報告では、少数言語イディッシュ語のオンライン学習活動に焦点をあてて、ラディノ語(ジュデズモ、ユダヤ・スペイン語)の活動にも触れながら紹介する。